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ジョイ・ディビジョン「コントロール」「onceダブリンの街角で」「僕の彼女はサイボーグ」「つぐない」[映画]

映画

コントロール デラックス版 [DVD]

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「コントロール」は意外にもよかった。ジョイディビジョンのイアン・カーティスを題材にした映画だけど、当然のごとく曲とリンクした内容になっていて、釘づけになる。どうしてこうも不器用なの?と言いたくもなるけれど、それだけを言い捨てることもできない。どうにもならないスパイラルに落ちて、最終的に死を選んだ、いや選んだかどうかも分からない、そこで唯一見えたのが縄だっただけなのかもしれない彼は、涙に濡れた姿が情けなくもセクシーで、それをサム・ライリーがよく体現していてエロい。実際にこんな男がいたら女々しくて嫌だけど、たぶん好きになる。こちらを押し黙らせる色気に満ちている。どうしようもないと分かっても魅かれてしまう心理をついてくる。その、どうしようもないダメさがどことなく太宰治を想起させた。ユーモアの部分でまだ、津島くんには劣るけど、色気は似ている。かっこいい。


ダメ男でいえば、「onceダブリンの街角で」の主人公も女々しいSSWだった。しがないミュージシャンが成功の道のりを駆け出すリアルサクセスストーリー調に作られている本作は、実際に主演である2人のSSWが共作アルバムを作成している。そこを発端にうまく色づけされているのであいのりのようなリアルドラマが垣間見れる。監督は主人公のバンドのベーシスト。
つかず離れずの距離を保つ2人が身体を重ねるだけが想いじゃないと言わんばかりに音楽を共鳴させる。そういうもどかしい青春のイロハをみせつけられて痒かった。良かったのは、大枚はたいて作ったアルバムが売れるのかどうか、スタータダムに上るかどうかも分からず、2人の気持ちもはっきりしないところ。そしてベルリンの街の人の奔放さ。街の人のいい意味での勝手さで、音楽をやることやそれに付随する青臭い夢を許されている感じがする。受け皿があるのってなんて和やかな気分になるのだろう。ちょっとうるっとした。


「僕の彼女はサイボーグ」はエロイしエグイ。正直、綾瀬はるか見たさに借りただけなのだけど、これなら今月公開の「ICHI」の方が見たい。小出恵介のキャラクターが猟奇的な彼女と全く一緒だし、盛り上がりどころについていけない。時系列を遡る作品は好きだけれども、ええー!むりくりじゃねえか、と思う節がどうも引っかかり、感情移入できず。つまりご都合主義。こうなったらいいのに、という妄想がいとも簡単に叶いすぎてそんな簡単に綾瀬はるかが手に入ったら苦労しねーよとヲタ丸出しの思想を隠しきれないままエンドロール。


つぐない [DVD]

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時系列の前後でいえば、「つぐない」もそう。ただ、これはミステリーに仕上げるつもりだったようだけど、先が見えすぎる。キーラナイトレイの妹役の子は凛とした表情で惹きつけられるけど、その子のターンはすぐ終了。
ある事件が起きるのだけど、その事件ではなく、その後の成長してからの物語が主題になり、事件が起こったその時分の描写は薄い。あえて薄くしたのかもしれないけれど、ごく個人的にはその事件周辺をもっと見たかった思いがあり、気づくと突然時が経過していて、あれっ、というおいてけぼりを喰らう。戦時中の描写が妹の背負う“つぐない”に泥をかけ鉛を飲ませる要因なのだろうが、あまり真に迫るものがない。本当にその“つぐない”に彼女が自縛されたのかどうかが伝わりにくかった。