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魂のパンチラ「愛のむきだし」

■「愛のむきだし園子温/ユーロスペース
http://www.ai-muki.com/  ※音量注意

愛のむきだし [DVD]

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ネタバレ注意






何を言ったらいいかわからない。
真に心を奪われてしまった。
伊坂幸太郎SABU監督。私の疾走感の巨頭といえばその2人だったけど、違う。園子温だ。このひげおやじなんだ。園子温はとっても振りきれていてせつなくて好きなんだけど、今度の園子温はそんなもんじゃない。時効警察をやってからポップになったせいか、こんなにもサブカル臭がするのに、こんなにもエンタ―テイメント。というかジャンルレス。分類なんて無用の長物だ。青臭いメッセージ性をかっとばしつつ、いきなり心臓えぐってくる映像。息つく暇を与えない切迫感。生物―ナマモノの匂いがする演者の目線。それが4時間えんえんと続く。しかしその4時間の口当たりは軽いのに、気づけばどんどん腹ん中で暴れてくる。今もまだまだ暴れてる。痛いんだけどなんだかハイになって楽しくなってきちゃうこの不思議な浮遊感。237分間文字通りスクリーンに釘付けだった。本当にどうしてしまったんだか自分でも言語処理できないこのイタ痒い感覚。見た直後よりも一日経った今になってこそ、効いているボディーブローのようにじわじわと。ざわつく。こころががさがさする。ドキドキする。痛みで切なくなる。とにかく大画面で見れたことをえらく幸福に思う。




■あらすじ
神父の父に罪を告白するために盗撮マニアになったユウがある日恋に落ちる。その名はヨーコ。やがて背後から迫りくる新興宗教の影。聖と俗、SEX と禁欲、キリスト教と新興宗教。いったいぜんたいどうなっちゃうの?この恋はなんなの?高速スピンをかましながらクライマックスへと堕ちていく。


この映画、男の人のあれを切り落としてびゃーびゃー血が出るしけらけら笑っているし、AAAの西島くんは盗撮だし勃起だし女装だし、元 Folder5満島ひかりはパンチラだしバスシーンだしオナニーするしレズディープキスだし、それからキリスト教と新興宗教だし深いリストカットでずぷずぷのぐっさぐさだし血まみれが常だしこんなこと書いたら誤解される題材だけど、本当は誰にでもわかるようなたったひとつの感情に従事している。愛について。恥ずかしいことなんだろうけど、恥ずべく愛を受け止めた時、崇高なものに昇華して、自分にこびりついたへんてこな羞恥心がすっきり溶けてしまう。清々しい。宗教ほどポップなものもないと想わせるほどエンターテイメントにぶっとばす。説教を説いているのに全く説教くさくもない。この取り扱い注意な題材でありながらも帰結はいたってシンプルに立ち返る姿、それは私がみたいものそのものだった。演者さんはみんな魅力的でかっこいい。満島ひかり安藤サクラ(奥田瑛二の娘)と西島隆弘(AAA)の今後の印象がこれで決まってしまうほどにインパクトがある。どの人物にも肩入れできるのは、私の適正というより、コンプレックスについてある種普遍的に描かれているからだろう。中でも、本当に体当たりなのは満島ひかり。この仕事を終えて、彼女は「ただ、生きよう!」と思ったという。そして演じる時にひたすらヨーコの世界と向き合っていた満島ひかり。どの場面においても自分がヨーコである覚悟が強く感ぜられる。彼女もアイドルから女優になる過程を昇華していくように、羽化する。コリント人への手紙第13章を読み上げるシーンはヒリヒリしてしょうがない。


誤解されやすいのですが、この映画は変態映画ではありません。変態に関する映画でもない。変態と誤解されている男の子と、男はみな変態だと誤解している女の子の話です。この映画は正真正銘の純愛映画です。――園子温


くやしい。素晴らしすぎて、くやしい。とてもつもない体験をしてしまった。上映時間4時間、体感時間一瞬とはよく言ったものだ。そういえばAAAファンらしき女子高生が見に来ていた。これをみた女子高生、すごくステキだと思う。なにもかもにドキドキした。


愛するというのはなんだか薄っぺらいと思っていた。そう感じて、どうだってよくなる。ひたむきをないがしろにした事実、薄っぺらいものだ自分のものは。もっとよく感じていない。もっとよく感じてい続けない。どっかに葬りさってしまった。こんな薄っぺらい愛に忠実にもなれないし、恥ずかしくて生きてなどゆけん。今一度性欲で胸を焦がしてむきだしてしょうがないわたしを取り戻す。それこそ「生きよう」として手をかける一瞬。

「なるほどこれが生か、よしもう一度」