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「ぼくの大切なともだち」

映画

ぼくの大切なともだち/パトリス・ルコント

あらすじ
お金でなんでも解決してる骨董商のフランソワが誕生パーティの席で告げられるひとこと「お前の葬式には誰も来ない」。出席者とのやり取りの中で10日以内に親友をつれてこいという賭けにのったものの、あては空回り。フランソワはある日偶然乗ったタクシーで、おしゃべりな運転手のブリュノに出逢う。目をつけたフランソワは賭けに勝つためにもその日からブリュノに導かれ、ともだちつくりの訓練が始まる。

ぼくの大切なともだち (完全受注5,000本限定生産) [DVD]

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ずるい。ブリュノの切り返しが人をしあわせにする。ブリュノは人当たりがよくてとにかく良く喋る。というのも、彼は幼い頃からクイズ番組を見て育ち、ヒーローはクイズ番組の司会者で、勿論夢はクイズ番組に出る事。つまり雑学王。それは時に厄介者扱い。頭の中が情報でごちゃごちゃしてるからはきださないと気が済まないってのもあるだろうけど、彼が生きてきた「感じよさ」を決定づける処世術のサービス精神なんだろう。時々それは過剰になる。だけど、ブリュノは驚くほど根気強い。なぜ、お金でなんでも解決できるとおごり高ぶるフランソワにそこまで付き合ってやろうと思ったのか、わからない。つい悪態をついたり、見知らぬ誰かにも奢ろうとするフランソワにブリュノは言う「他人から奢られてもうれしくない。距離はたいせつだ」。そんなブリュノにフランソワはなげかける。「君が誰とでも親しげにできるのはなぜだ?」ブリュノは答える「「誰とでも」は「誰とも」と同じだよ。人はみな孤独」。愛想のないフランソワと人当たりがいいブリュノ。だから作用し合うのかもしれない。

当たり前だけど、フランソワが必死になればなるほどおもしろい。空気も作法もまるであったもんじゃないおっさんがいい年して「ともだちつくり」に奔走するのはどっからどうみてもコメディだ。だけどちょっとふりかえってみれば心当たりに笑えなくもなる。コミュニケーションがうまくとれず、心許せるともだちがなかなかつくれない様子を客観的にみて心境複雑にもなる。観ている時に何人かの顔が浮かんで消えた。私を通り過ぎてしまった友人たちがいるかもしれないと思って、すこし怖くなった。友人とも呼べない人達が。

物語はいつの間にか2人のかけあいで進み、テンポをきらさない。人づきあいに「大事なのは、感じよさ 笑顔 そして誠実さ」だと説くブリュノ。街中の人に堅い笑顔を向けてはフランソワは嘆く「冷たい顔ばかりだ」「だからこそ笑顔で」ブリュノのその言葉で体が軽くなる。「陽気さが幸せを呼ぶ」といつしかブリュノの口癖を真似をするフランソワはかわいい。おっさんmeetsおっさんの甘酸っぱさ。中でもメトロでサッカーのライバルサポーターにやじ飛ばすところは高まらずにいられない。*1「友情」を教え/教えられる契約からはじまる2人の関係はいったいなんなんだろう。物語は一変してシリアスになる。

作品を通じて私が一番魅力的にみえたのは共同経営者のカトリーヌ。彼女はともだちのいないフランソワの一番側にいて一番的確なアドバイスを与えてくれる。彼女は因みに彼女がいる。かわいい。そんなパーソナルなことにも何も関心を示さないのがフランソワだった。だけどカトリーヌはめんどくさがりながらも常にフランソワの友達つくりに協力しているようにみえる。友情の証拠をみせると躍起になるフランソワに言うことば。「愛に証拠があるのではなく、証拠はなくてそこに愛があるだけ」その言葉には不思議な湿度と鉛の重さがある。そんな感じで、フランソワの周りの人たちも金持ちかもしれないが、みんな嫌な奴じゃないのがすごくフィクションで救い。

あと、とにかく星の王子様はずるい。ラストもずるい。
奇抜な発想はひとつもないけど、泣けて笑えてつい考えてしまう、ハートウォーミングな小気味よさを生むパトリスルコントに今回もやられた。

フランソワの共同経営者・カトリーヌ役のジュリー・ガイエとフランソワの娘役のジュリー・デュランがめちゃくちゃ可愛い。ジュリー・ガイエはなんか日本映画に長けてる*2らしい…!メトロに恋してもみるか…。

*1:余談だけど、サッカーの試合でルマン時代の松井大輔のユニが!

*2:http://www.cinematoday.jp/page/A0000861