5/13(金) 劇団大人の麦茶「その贈りものの酒は封が開いていた」@ザ・スズナリ

 

オトムギ新作公演をスズナリで観てきました。

 

今、ちょうど、こわれて携帯を持ってないので調べるよりまずは人に聞く生活を送っているのですが、何気なく道をきいた下北の駅員さんがとんでもなく親切で、地図を片手に2回復唱しながら、場所を教えてくれた。

 

「いいですかー。突き当りを右です。かならず突き当たりますからね。」

 

その温かみを受けたまま文字通り暖かい夜を闊歩すると、細い車道を曲がった先にみえる「ザ・スズナリ」というあの場所がまたたまらなく、物腰柔らかな将護さんに出迎えられる。

 

全原さんの大きな声で親切に誘導されて、席でずっとわくわくしていた。この時点で既にあったまっていた。それから約、2時間ちょっと、塩田さんの登場人物全方位の愛にふれて、ただのふつうの帰り途も、すれ違う学生の群れすら愛おしくなった。

 

大事なことは2回のみならず、3回、4回とリフレインするオトムギの舞台が沁みてくるのは、観た後も勿論だけど、本当はたぶんもっと後。あめあられと台詞に殴られるような感じがする。なんでもないことのようで、大事にしていることをぺろんと剥がされる。いやん。丸裸。オトムギに出会うときはいつもそんな感じです。

 

今、ナミチョーって銀髪なんだ…とか、物販で軽いショックをうけつつ、手拭いを無事ゲット。よくわからないけれど、今度のめいめいの卒業公演に手拭いを巻いていこうと思った。めいめい…オトムギとがっつりやって欲しかったなあ…。サンクユーベリーベリーで一際、異彩を放っていた「生徒方!」の傳田さんがめちゃくちゃハマり役で前回の時からオトムギっぽいなぁと思っていただけに、最高だった。ああしかもその対(コンビ)観たかった!!!と膝を打った掛け合い。あれ?この座長のキャラって…どこかで…と思ったりするの楽しかったし、きっぷのいい座長のかわいさは全てのおじちゃんに標準搭載推奨もの。そしてまいどのこと将護さんのピュアさにあてられる。将護さんって爽やかでかっこいいが前にでるよりも、なんか圧倒的におじいちゃん。熱い熱いおじいちゃん。そう、シュガースポットの時の本当のおじいちゃん役じゃなくても、なんだかおじいちゃんなのだ。可愛らしいうえに、筋があって、古風。そのおじいちゃんが、生き切る姿ってもうどうしょうもなく、いとおしいです。

 

実は、ナミチョーがすごくおおきなものと闘っているとわかるあのシーンから、どばどばっと一気に日々の疑問や、本当はそうしたかったはずなのに、ちゃんとできていないこと、なんかが押し寄せる。きれいごとを負け戦といいたくなるナミチョーのあの感じ、ハッキリ言って大好きだ。わざとらしく何かを誘い出しているわけでもないよくありそうな光景の中でほんのいくつかの針を飲みこむ。そうだからこそ、不用意に飲みこむ。お腹の中で成長していつか生えてきそうな感じもする。

 

観終わった後、無性に言葉の刺激がほしくなる。文明は発展し、昨日を失くして今日を得る毎日だけど、明日じゃなくていい。佐々木莉佳子ちゃんも言っていたけれど、それでも「人間は負けない」と思った。オトムギの舞台はその想いを強くする。